言葉がわからない。その悔しさを知ったのは、大学生の頃でした。
文化人類学の学徒だった私は、フィンランドの民俗音楽に興味を持っていました。
フィンランドの言葉はフィンランド語で、英語とは単語も文法も違えば、ウムラオトなどアルファベットも違います。
当時、日本語で読める資料はほぼないに等しく、英語も少ない。限られた情報の中で、もっと多くの情報を求めて、一か月、フィンランドに滞在しました。
目指すは中央フィンランド。カウスティネンという村で行われる、北欧最大の音楽祭。
その旅で出会った多くの人。目にし耳にした、馴染みのない言葉。お互い英語は母語ではありません。案内看板ですら、スウェーデン語とフィンランド語。音楽祭の司会進行も、全てがフィンランド語行われます。
歯がゆい思いをしました。もっと言葉がわかれば、もっと多くのことがわかったのに。
本当に知りたいことは、言葉の向こうにありました。
今も私の手元には、せめていつかわかるようになればと思って購入した、膨大な量の資料が、読まれる時を待ったまま、眠り続けています。
私が通訳翻訳、言語サービスに関心を持ったのはそれからでした。
生まれ育った京都を離れ、4年間、東京で通訳翻訳コーディネーターとして働きました。ほぼ休む間もなく届く「言葉」に関する要望は、私自身の個人的な願望や悔しさが、私だけのものではないことを実感させてくれました。
そんな中、時折京都に帰るたび、徐々に見知った町の景観が変わり、多くの人が、外国からやってきていることにも気づきます。
浮き経つような変化の一方で、少しずつシャッターを閉じた店舗が多くなっていくことに、目が向くようにもなりました。
シャッターの向こう、店舗やホテルを運営していた人たちの、本当の望みは何だったのか。
ひょっとしたら、言葉の力が役に立つことも、あったのかもしれない。
京都に帰り、2011年2月、GRiIC(グリーク)グローバルコネクトとして起業しました。
社名の「GRiIC」は、「国・行政Government」、「大学・研究機関Research Institute」、「産業Industry」、「消費者Consumer」の頭文字を取って名付けました。
起業当初は、大きな規模での言語サービスも行ってまいりましたが、今では、日本に根付いた外国籍の方々のお困りごとにも目を向けられるようになりました。
それぞれが、言葉や慣習の違いの向こうにある、本当に必要とするつながりのため、GRiICグローバルコネクトは、心からの誠意を込めて、言語サービスを行って参ります。